我が家の主、ミスター

我が家の主、ミスターはドイツのエンジニアである。

7歳から3年間ほど科学雑誌GEO(ゲオ)を定期購読し、
隅々まで食い入るように何度も愛読していた。
そのせいかミスターは、科学分野について実に何でもよく知っていて、
私や子どもたちが、ふと疑問に思って口にした、どうでもいい事から複雑なことまで、
「どうして」や「なぜ」に、まこと細やかに答えてくれる。

ふむふむ、とその知識に感心して説明をありがたく拝聴するのだが、
私を含め子どもたちの集中力が、そう長く続くことはない。

だいたいにおいてミスターの話は長いのだ・・・。

話の要点を短くスッキリまとめることができない、と言うよりも、
細かいところから話し始めて、ドラマチックに持っていくタイプ、と言う方があっている。

子どもたちはこの「小さいところから・・・」が長すぎて、脱落する。
ソワソワし始め、やがて席を立ち動き始める。
私も何か片づけを始めたり、おもむろにキョロキョロしたりして、
”話が冗長的で飽きてきたから短くして欲しい・・・”
という信号を送るのだが、ミスターは気づかない。

初めはわざと気づかないフリをしてる、と思っていたのだが、
しばらくして本当に気づいてないことを知った・・・。
そう、ミスターの弱点は、話が長いこと。
そしてその長い話の中で、周りの微妙な空気の変化を感じないこと、なのだった。