義母、コロナで封鎖のイタリアから逃げ帰る

イタリアで新型コロナウィルスによる死者が出て、感染者が急増する前日。
義理の母(私には義理の母が2人いるのだが、レストランを経営しているほう)は、
その妹と女友達の3人で、イタリアのナポリへ旅行に出発した。

ここバイエルン州では、9日間のファッシング(カーニバル)休暇に入り、
寒いドイツを脱出し、暖かい南へ旅する人も多い。
義母たちもナポリでバカンスを楽しむはず・・・だったのだが、なんとも時期が悪い。
ナポリに到着した次の日、イタリア政府は感染者が出たエリアや街を封鎖したのだ!
その決断力と対応の迅速さは、今後は日本も見習ってほしい、と感心しつつ、
「え?封鎖は北イタリアの方だけじゃなかったの?ナポリなんてずっと南じゃない?」
と驚く私。感染経路が分かっておらず、感染スピードも速いため、
報道ではクローズアップされていないが、 ナポリも封鎖に踏み切ったということ。

これに焦ったのは義母。
彼女が真っ先に考えたことは、ドイツにすんなり戻れるのかということ。
200席はあるレストランを切り盛りしている彼女は、そうそう長くは休めない。
封鎖中にイタリアの感染者が増加の一途をたどり、ドイツ帰国時に検疫によって
隔離なんてことになったら、最低でも14日間は仕事に戻れないのだ!
仮に発症してしまったら、さらに長くなってしまう。
たまったものではない。

ということで、義母は封鎖の前に即ドイツへ帰る!
と決め、封鎖発表当日そうそう、ナポリから戻ってきた。
実に1泊2日の短い旅であった。
夜遅くまで一生懸命に働いているので、本当に気の毒で仕方がない。
旅費だって捨てたようなものだ。
6月に日本の帰省を予定している私たちも他人ごとではない。
捨てる旅費の桁数も1つ違う・・・。
それに夫のミスターは 個人事業主。
義母と同じく14日間も隔離生活ができるほどヒマではない。

ところで義母と同行した妹さんと女友達がどうなったかというと、
帰国せずにナポリに滞在している。ナポリからは出れないが、
急を要すこともないので、そのまま休暇を続行しているのだ。
ちなみに彼女たちの職業は、”教師”である。
日本だと、子供たちに移す可能性を出してはいけないとか、
仕事の責任感から義母のように帰国しそうだが、ドイツの教師は真逆なのだ。
こういう状況で仕方ないのだから、仮に戻れなくなったり長期間隔離されたとしても、
代行の教師がいくらでもいるし、休暇も取り切れないくらいたくさんある。

ドイツで教師を目指すのは、悪くない選択肢だと思う。